部下に話が通じない。指示に応じてくれない。

パワハラ?発達障害?

カウンセリングでは、職場の上司や経営者から、自分がやりたくない仕事を指示されたり、勤務態度を注意されることなど、納得できないことが多くて、「自分だけ他の人と扱いが違う」と葛藤を感じているという内容の相談もあります。

こうした相談内容では、自分がパワハラを受けているかもしれないという思いがあり、実際パワハラなのかどうかを確認したいというニーズがあってカウンセリングを受けに来られるクライエントも多いです。

一方、管理職や経営者の立場のクライエントからは、部下から一方的な態度や強い態度を取られていて、厳しくしたり強い態度に出るとパワハラになる可能性があり、どう関わったらよいかわからないという相談があります。

部下側からの相談でも、上司や経営者側の相談でも、相手のことを「もしかして発達障害なのでは」という話も出てきたりもします。

実際に、客観的状況も含めて詳しく教えてもらうと、「発達障害」の可能性があるケースもあります。

しかし、実際は「発達障害」ではなく、クライエント本人、または相手側に「決定権の誤解」が生じているケースがよくあります。

職場における「決定権の誤解」

決定権の誤解は、相手との関係の中で、その立場・役割の違いによっては、他者に決定権があり、その決定権に基づく決定に従う立場・役割にいるのに、その決定権は相手ではなく自分にあって、自分で全て決められるという誤解です。

前記の例でいくと、「仕事の割り振りの決定権は、本人に裁量が認められている場合もありますが、それでも最終決定権は上司や経営者にある」ことや、「勤務態度について会社の方針にしたがって指導すること」が上司や経営者の仕事の中に含まれていることを理解できていなくて、「全て自分で決められる」と誤解していることがよくあります。

注:(パワハラになる一方的な関わりは別です。パワハラのはじまりの背景に決定権の誤解があることもよくあります)。

また、逆もあります。

管理職や経営者が、自分に決定権があるのに、決定権がないと誤解している場合です。

仕事のプロセスが思うように進んでいない時や部下が指示通りの仕事をしていない時、「部下に任せている、信用しているにも関わらず、部下が自己責任で判断して仕事をしないんです」という内容の相談の時です。

こうした場合、部下は自分の責任で決められない事を上司である管理職や経営者に相談して判断を求めたり、決めてもらおうとしても、上司がそれを行わず、部下の責任に転嫁してしまいます。

上手くいっている時は良く、特に経営者の場合、人を上手く使っていると自他ともに思っている事がよくあります。

しかし、物事が上手く行かなくなったりトラブルが起こると、被害者意識が強くなり、全て部下の責任として部下を責めてしまいます。

ここで自らの気づきや、他者に相談して、客観的に状況がみれる人は、落ち着いてくると、「部下に丸投げ状態」であったことに気づきます。ここで決定権について整理がつけば、解決に向けて物事が進んでいきます。

気づけない場合は、決定権の誤解の他に、本人も気づけていない心理的な課題を抱えていることがよくあり、解決のためにカウンセリングが役立ちます。

決定権の誤解がうまれる背景

部下・管理職・経営者、その立場や役割の違いに関係なく、仕事上の決定権の誤解が生まれる背景には共通したものがあります。

一つには、子供時代に、自分の要求を通すために、大人に対して泣いたり騒いだりすることで、最終的に大人が根負けして、子供の要求を受け入れる対応をしてしまい、そのパターンが定着して当たり前として、そのまま大人になっている場合です。

この場合、決定権のある相手の決定に合わせたり従うことを体験的に学びきれていない場合があります。

また、決定権のある人が自分で決定した事が他者にも影響を与えて、その責任を果たすということがどういう事なのかも、従う側で体験的に学びきれていないこともよくあります。良いロールモデルの不存在です。

次に、子供時代、家の事や親族のこと対外的な事など、本来、親に決定権があり親の責任で成し遂げていく必要があることについて、親の事情で子どもに頼って子供に決定させ、その結果についても子供に責任を負わせる(責任転嫁)関わりがある環境の中で生活していたことが影響していることもあります。

この場合、親がその関わりのスタイルを変えない限り、現在進行形でその状況が続いている事もよくあります。

こうした家族生活の環境の中で育つと、その子供は、親の責任と自分の責任の区別がつかなくなり、親の責任も自分の責任として受けとめることを学習してしまいます。

その結果、決定権がある人の決定に合わせたり従うとことで、自分が保護されたり守られるという安心・安全の体験を体験的に学びきれず、自分で自分の身を守るために、そして、大切と思う他者を守るために、全てのことを自分で決めるということを学んでいることがよくあります。

過度に責任感が強く自責の念が強い人は、このような家族生活の環境の影響を強く受けている事がよくあります。

さらに、子供時代、虐待的な関係の中で育って、パワーポジションにいる人に、自分のニーズや権利を尊重して満たしてもらう経験がなかったり、その経験が少ないと、関係の中で一番パワーのあるポジションにつくと、周囲は自分に従うし、従わせることが出来ると誤解して成長していることもあります。

この誤解があると、社会人になって成功したり、業績を認められて影響力をもつと、全て自分で決めることができるという錯覚に陥りやすくなります。

この錯覚に陥ると、本人の認識では他者の尊厳や権利を尊重していると思っていても、実際の言動や関わりは尊重出来ていないことがよくあります。

この錯覚に陥るのは、本人は自分の経験から、相手を尊重しようという意識はあっても、良いロールモデルが存在せず具体的に自分と他者の尊厳と権利を尊重する具体的な関わり方やスキルを体験的に学ぶ機会がなかった又は少なかったからです。

また、虐待的な関係になれていると、相手が自分より優位だと思ったり、尊重してくれない一方的な関わりをする相手になると、自分には決定権がなく相手に従う(服従)ということを学んでしまっていることもあります(虐待のトラウマ反応)。

経営者・管理職が部下との関わりで困難を感じる背景には、この課題が存在していることもあります。

2つの決定権の誤解と解消法

背景は違っても、自分を守る必要がない健全な関係性の中でも、上か下か、強者か弱者かという判断基準によって、決定権のある人の決定に合わせたり従うということができなくなっている。それが決定権の誤解です。

また、自分に決定権があるのに、相手に決定権があると誤解して、自分で決定しない結果、相手に振り回されるというのもあります。

決定権の誤解による葛藤は、強い怒りとフラストレーションを伴うので、かなりのストレスとなります。

いろいろ解決のために知識や人間関係のスキルを駆使しても、決定権の誤解を解消しない限り、物事がうまくいっても、葛藤が残ってしまうこともよくあり、それが生きづらさになっていることもます。

それを解消していくには、決定権の誤解に気づいて、自分の受け止め方や物事への姿勢や言動を変えていくことが必要になります。

その過程で新しい体験を繰り返し、新しい学びを自分のものにしていくことで、生きづらさが解消されていきます。

しかし、それが感情的に難しい場合は、トラウマ体験が背景にある可能性もあり、適切なサポートを得ながら、感情調整や新しい物事の捉え方を身につけていく必要があります。

自分ではどうにもならないことに気づいたら、カウンセリングを受けることが役立ちます。

法的権利の誤解

決定権の誤解があると、法的権利についても誤解がうまれて、法的トラブルが生じることもあります。

法的権利の誤解には、次の二つがあります。

  1. 相手の法的権利を自分の法的権利と誤解すること
  2. 相手の法的権利であることがわかっていても、その相手の権利を相手の同意を得ることなく自分の判断だけで行使できると勘違いし誤解していること

法的権利を誤解している相手に、自分の権利を確認したり、同意なく勝手に決定することをやめてほしいと求めた時によくある反応には、「あなたのためになると思ったから」というものがあります。

この場合、誤解している相手が、自らの誤解に気づけない時は、是正や謝罪の対応がなされず、さらに、あなたのためだからと一方的な関わりで結論を変えないように叱咤激励してきたり、話をすり替えて自分の言い分を通そうとしたりします。

その話し方が、心理的な脅迫になっていると、正当な権利を行使しようとしている側の方が罪悪感を感じて、相手の要求にしたがってしまい、時間が経過してそれに気づき、後悔することがあります。

また、逆に、過度で不自然な感謝や称賛を続けて要求を通そうとするケースもあります。

この場合、正当な権利を行使しようとすると、感謝や称賛することで話の焦点をズラしたり、謙虚さを示して感謝や称賛を伝えて相手の善意や良心を刺激して、要求を通そうとするパターンもあり、この場合も、時間が経過してそれに気づき、後悔することがあります。

したがって、何か気がかりや不自然さ、違和感を感じたら、費用が気になったとしても自分の大切な権利を確認し守るために、適切な第三者(法的な権利も理解しているカウンセラーや、関係性を理解して心情面も踏まえて法的アドバイスをしてくれる弁護士などの専門家)に相談して客観的なフィードバックをもらうことが大切です。

法的権利の誤解が生まれる背景と解消法

この誤解は、法的な権利・義務関係の知識がないことが原因の思い違いによる場合と、決定権の誤解と同じ、子供時代に大人が決定権を引っ込めて子供の要求を通してきたり、子供時代に親の責任を肩代わりしてきたり、虐待的な関係の中で身を守るために学習した判断基準による場合のものがあります。

法的知識がない場合は、それを教えてもらい学ぶことで、対応方法を自ら変えることで解決していきます。それは、恥ずかしい思いをするかもしれませんが、新しい学びとなります。

子供時代に、大人が決定権を引っ込めて子供の要求を通してきたり、親の責任を肩代わりしてきたり、虐待的な関係の中で育って身を守るために学習してきた判断基準による影響の場合は、決定権の誤解と同じく、気づいて対処できればOKですが、それが感情的に難しい場合は、カウンセリングを受けることが役立ちます。

文責 プロカウンセラー池内秀行


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