経営者として不祥事から学ぶ

他者の不祥事から学ぶ

最近の某金融機関の融資問題における、頭取の事実関係のごまかしに関して、自分が経営者として、今後の会社経営について学べることを学びたいという、セッション内容のリクエストがありました。

ネット上では、大企業病とかエリートの幼児性とか色々な議論もあるようです。

私の専門的な視点では、ハラスメントの対策と予防にも関係するところもあるので、必要なエッセンスの部分を紹介したいと思いまとめてみました。

「事実関係の誤魔化し」はインテグリティの課題

某金融機関の実際の事実関係の詳細は私にはわかりません。

しかし、「事実関係の誤魔化し」そのものについては、経営者として学ぶことが多くあります。

実際問題として、「事実関係の誤魔化し」は、大企業だけではなく、中小企業から個人ビジネスまで、全ての規模の会社と個人ビジネスで起こり得るインテグリティ(誠実さとアカウンタビリティの両方を含む姿勢)の問題です。

業務遂行プロセスにおいて内在化されている3つの責任

経営者、管理職、従業員、どの立場でも、関係当事者との関係性の中で業務を行っています。

そのため、自分ひとりだけではなく、関係当事者全員が、相互にその業務の目的・目標を達成するために必要な情報提供や意思決定のプロセスに関わる責任があり、その役割を引き受け、その立場に立つと、次の3つの責任は、その役割に自ずと内在化されています。

(1)関係当事者の話を聴いて理解する責任
(2)関係当事者の考えや価値観、体験を尊重して自分の考えや求めることを伝えて、必要な責任を相互に分担して協力する責任
(3)仕事での事実や自分の判断について、どのような結果を求めてその判断や決定をしたのか、そのプロセスを関係当事者に説明する責任(アカウンタビリティ)

この内在化されている責任を引き受けて果たすためには、その責任を認識し理解して実行していくためのスキルを身に付けていく必要があります。

(1)関係当事者の話を聴いて理解するスキル
(2)関係当事者の考えや価値観、体験を尊重して自分の考えや求めることを伝えて、必要な責任を相互に分担して協力するスキル
(3)仕事での事実や自分の判断について、どのような結果を求めてその判断や決定をしたのか、そのプロセスを関係当事者に説明するスキル

スキルを身につける意味

スキルは、責任を引き受けて実践の場面で不必要なトラブルを予防してくれます。

当事者意識

さらに、「責任」と「スキル」を自覚して主体的に仕事をしていくには、「当事者意識」を持っていることが必要不可欠です。

関係性の中に内在化されている責任は、その当事者に自覚がないと、本人はそのつもりはなくても、相手にとっては話が通じない相手となり、絶えず関係性の問題が起こります。

片方、または双方に当事者意識がない問題は、コミュニケーションの問題とされていることが多いのですが、実際は、コミュニケーションの問題ではありません。

それは、関係性における当事者意識の問題で、当事者意識がないと、自分の姿勢や言動が相手に影響を与えていることを認識できないので、全て相手の問題にすり替えていることに気づけないので、ハラスメントの問題になります。

また、当事者意識がないと、スキルを持っていても、全て他人事なので、自分自身が当事者としての現実をつくりだせません。

当事者意識がないと、責任があればあるほど、たくさんの関係当事者に迷惑をかけるし、スキルは絵にかいた餅になります。

当事者意識の欠如がもたらす深刻な問題

当事者意識が欠如していたり、自分が当事者であるという認識が薄いと、自分の立場と相手の立場を理解することが出来ません。

自分はこれだけ頑張っているのに、どうしてわかってくれないんだろうという時、相手の立場を理解出来ていないので、相手にどのような影響を与えているのか、相手のどんな役に立っているのか想像することが出来ないので、一人で苦しくなっていきます。

当事者意識がないと、お互いの立場と役割を理解し、相互に尊重しながら協力関係を築いていくことそのものが出来ないのです。

優秀なのにどうしてなんだろう?と思う人は、優秀でも当事者意識が持てていなケースがとても多いというのが、私のカウンセリングでの実感です。

仕事上、どうしても会話が噛み合わず、いつも嫌な思いや、困難さを感じる時、コミュニケーションの問題として対処してもうまくいかない時は、どちらか又は双方に仕事に関する当事者意識が欠如していることがよくあります。

仕事の世界における、自分は何者かというアイデンティティは、仕事に関わっているという当事者意識を持ち、関係当事者の当事者性を尊重して、仕事の実践と振り返りを繰り返していく中で、自らが引き受けている仕事に内在化されている責任と役割の理解を深め、実践した結果の積み重ねによって確立されていきます。

「事実関係の誤魔化し」の背景にあるもの

「事実関係の誤魔化し」の問題は、内在化された責任を自覚できていないという問題であり、当事者意識の欠如として捉えることが出来ます。

こうした理解に基づいて、「事実関係の誤魔化し」の問題の背景には、次の二つの要素があります。

(1)当事者意識の欠如からくる無責任とその結果として権力・パワーの誤用
(2)関係当事者の安全装置としての規範やルールは自分には適用されないという特別意識

(1)は、他者や状況は関係なく、自分がしたいようにしてもかまわない、そのあとはどうなっても自分には関係ないと思っていることです。

(2)は、(1)を前提に、自分にとって都合の悪いことは全て自分の責任ではなく、他者の責任であるという思い込みです。

当事者意識がもてない無責任の傾向

当事者意識の欠如から無責任の問題を抱えている人は、社会性を身につける前の幼い子供と似ていて、自分のことが優先で他者の都合は関係なく、他者の都合や状況、ニーズなどお構いなしで他人を振り回す傾向があります。

他人を振り回す人とは、如何にも責任を引き受けてますという態度を取りながら、説明責任を果たさず、自分の立場上の言動が周囲にどのような影響を与えるか思慮せず動き、途中で何かの理由をつけて、どんどん言うこととやることが変わっていく人です。

周囲の当事者性を認識できる人たちは、引き受けている自分の立場上の責任を果たすために、嫌でもその人の立場を尊重せざるをえず、本当は無責任な言動に巻き込まれているだけなのに、それを仕事として受け入れることで乗り切ろうとします。

何より、巻き込まれた人たちが苦しくなるのは、他人を振り回す人は、状況が悪くなると、巧みに当事者意識を持って責任ある仕事をしている人たちに責任転嫁していきます。

当事者意識の欠如による無責任の問題を抱えている人は、自分自身の言動が問題を引き起こしているという視点を持つことができないから、当然のように責任転嫁するので、周囲の人は、その臨場感に飲み込まれてしまい太刀打ちできないこともよくあります。

当事者意識を持てないという問題を抱えた人の背景

当事者意識の欠如による無責任の問題を抱えている人の背景には、そこから抜け出す機会を与えられてこなかったという歴史があります。

例えば、親や友人など身近な人たちの中に、その人の当事者意識が欠如した無責任な行動を許容し、本人が結果を引き受けて責任を取らないといけない場面において、周囲が尻拭いをして、本人の責任を肩代わりすることを繰り返し、その人が自分の無責任な行動の結果に直面して学習する機会を奪ってきた歴史があったりします。

そのため、成長の過程で、人間関係を築いていくために必要不可欠な、他者の立場に立って相手を理解して気にかけて関わりをもっていくという重要なレッスンを学べていません。

特に仕事の領域では、経営者や管理職、成績優秀者や、能力・才能のある人の当事者意識が欠如した無責任な言動について、経営者や管理職であるからとか、能力・才能があるからという、本当は理由にならない理由で、本人の自己責任のレッスンの機会を周囲が肩代わりして奪っていることがよく見受けられます。

無責任の問題を抱えている人は、自分の問題の主な原因は当事者意識が欠如している自分の言動にあることを理解して、当事者意識をもつことを学んでいく必要があります。

また、特別意識が強い人は、他者に自分の言動の問題を指摘されると、自分の立場が否定されたり自由が奪われようとしているかのように感じて、反射的に防衛反応として相手の人格を否定して責任転嫁を行います。

特別意識の問題を抱えている人の背景によくあるのは、生まれ育った家族や学校、友人関係、その他のグループの中で、個人として尊重されず、他者の責任も自分の責任にされるという責任転嫁の環境の中で過ごした経験がある、または現在もプライベートでそのような環境の中で生活していることです。

このような環境の中で生き抜いてきたサバイバルの術として、確固たるパワーポジションを確保することで、相手より強い立場に立ち続けることが身を守る術になっています。

人間関係が苦手という人の中には、こうした身を守るために身に付けたサバイバルの術としての特別意識が、苦手意識の背景に隠れていることもよくあります。

抱えている問題を解消するには

こうした問題を抱えている人は、「自分の自由と選択する権利」と「相手の自由と選択する権利」が同じであることを受け入れて、相手の考え、気持ち、立場を理解して、応答することができるように自分を成長させていくことが必要です。

抱えている問題を認め、受け入れ、そして自ら成長していくことは、受け入れる勇気が必要になります。

起こってしまった問題を解決するには

事実関係のごまかしの問題は、問題の解決どころか、誤魔化された説明を前提に対応してしまうことがよくあり、その結果、新しい別の問題を生み出すことになることがよくあります。

事実確認ができない時に、私たちがよく行うのは、想像に基づいた「多分こうだろうから」という想定に基づく問題分析です。

事実確認をしないまま、想定に基づく問題分析は、問題分析そのものも想定でしかありません。

したがって、全てが想定で解決策まで考えて実行に移すことは、結局、机上の空論でしかありません。

このような場合、必ずといっていいほど起こるのは、問題そのものが、そこに関わる人間の性格や能力の問題にすり替わってしまうことです。これは責任転嫁以外のなにものでもありません。

責任転嫁が起こると、そこから先の関係で起こってくるのはパワーハラスメントです。

実際、こういった事が起こり、会社にとって大切な社員が会社を辞めてしまった経営者の方もいらっしゃいます。

本当の問題が何かを見極めて、起こった問題を解決するためには、客観的な事実を明らかにする必要があります。

「事実に向き合う」。状況と内容によっては困難であることも事実です。

実際の場面では、事実確認をする時、その時の状況や関係当事者の複雑さによって確認するスキルや配慮がありますし、説明責任として事実関係を説明するにもスキルと配慮が必要です。

こういったことは、予め知識があっても、出来事の真っ只中の当事者になると混乱するし感情的な体験も沢山あります。

私自身も、依頼を受けたクライアントの仕事をはじめた後、説明を受けた内容と事実が異なり、それがわかった時に、事実に向き合うことをしていただけず、社員に責任転嫁されたので、お仕事を途中でお断りした会社もあります。

したがって、(1)と(2)の問題を抱えている人たちには、カウンセリングなど第三者の援助を受けて解決していくという責任の取り方がある事を知ってほしいと思います。

また、自らの力と会社内だけでは困難と感じたら、途中からでも支援を求める勇気をもってほしいと思います。

事実の確認が出来るかどうか。それは、事実と向き合えるかどうかということであり、向き合える力は、将来の結果を変えていく力です。

2013年10月11日作成,2020年02月19日一部改訂

文責 カウンセラー 池 内 秀 行


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